東京ノート再演 私の稽古日記

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平田オリザの代表作「東京ノート」は、1994年に青年団第27回公演として初演され、1998年に同第34回公演として、名古屋市をはじめ全国各地で上演されました。これはその再演時の私の稽古日記です。公演自体は1998年4月以降も続きましたが、ここには同年3月の東京公演終了までの日記を掲載しました。

1997年1998年
11月12月1月3月
1998年2月は、稽古なし

1997年 11月


11月6日(木)

「東京ノート」再演のキャスティングが発表になった。私は初演時と同じ、秋山家の長女由美の役。


11月11日(火)

歯医者に行った。19日から稽古が始まるので忙しくなる旨伝えた。でも公演は来年ですと言うと、「それで今から稽古するんだから大変だよね」と先生。
児童文学系のサイトの掲示板に、来年6月頃兵庫県伊丹市で公演をするのでよろしく、と投稿。以前そちらの管理人さんに、関西方面で公演があったら教えて、と言われていたので。


11月19日(水)

きょうから稽古。4時開始。といってもきょうは、台本印刷と予定表作り。のはずが台本がプリントアウトが間に合わなくて、予定表作っただけで終わり。
「予定表」とは、1週間単位のスケジュールを書き込む紙で、稽古の予定や、各人のNG予定(歯医者に行くので15時以降NG、とか)を記入するのに使う。今日やったのは、稽古期間全体をカバーするのに必要な枚数をコピーし、日付と稽古予定時間を書き込む、という作業。


11月20日(木)

きょうも台本の印刷が最後まで行かず、できてきた分だけ読み合わせをした。初演のときの自分の口調が全部記憶されていて、ちょっとやりにくかった。
あすから4日間、稽古が休み。


11月25日(火)

きょうは一場のアタマから稽古をした。好恵と二人で歩きながら入ってくるところがなかなかできなかった。火宅か修羅か以来久しぶりの「いい人」役だからじゃないか、と演出家から言われた。
再演の今回、「義理」と「血縁」の兄弟姉妹の関係性の微妙なところを出したいそうだ。
衣装は、春服。私も新しいのにしたいんだけど、演出は初演の時のままでいいと言う。


11月26日(水)

1場の後半と電動歯ブラシのあたり(3場)を稽古した。
すでに演技の作戦をちゃんと立ててる人もいる。うまくて感心する。そして、自分もしっかりしようと思う。スタートからして負けてるのかなぁと不安な気持ちにもなるが、気持ちがしゅんとしてしまっているといいことは何もないので、がんばれ!と自分を応援する。
インターネットで「Vermeer」を検索してたら、フェルメールの絵をほとんどウェブで見ることができることがわかった。手紙を読んでる少女の絵もあった。あと、関係ないけどVermeer Manufacturingという建設関係の会社もあった。


11月29日(土)

由美好恵が離婚の話をする、「いちばん深刻な」シーンをやった。1場アタマの登場シーンも、またやった。こないだなかなかうまくできなかったところなので、ここは緊張しがちだ。演出家が考え込むと不安になり、他の俳優が稽古を見てると私を降ろしてこの人にやらせるつもりなのか?と動揺し(青年団の稽古場では、多くの俳優は、自分の出てないシーンの稽古はほとんど見ません)、ほんとうに私は弱っちい。だけど演出家の考えていたのは、台詞のことだった。台詞を追加したい部分があって、その前後との整合性とかそういうことを考えていたらしい。何カ所か台詞が増えた。
昨日から右上奥歯が痛く、きょうになって「イ」段の音を発声すると痛むようになったので、急きょ夕方歯医者さんに診てもらった。結局神経を抜くことになったが、長年虫歯になっていたせいで神経がほそーくなっていて全部は時間がなくてとりきれないとのことで「八割がた」とったそうだ。
人に紹介してもらって最近行き始めたこの歯医者さんは、歯茎など口の中全体のことをみてくれるし、いろいろ説明してくれるし、なによりも、痛がりで怖がりの私のことをバカにしないでくれるので、巡り会えてほんとうによかったと思っている。


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