朝である。締切がきのうの仕事が一件あって、でも電話で確認したら、先方が出社するのがきょうの午前の遅い時間で、それまでに送ればOKということだったので、完徹ではないけれど朝までがんばって提出した。あー、終わったぁ。
昨年9月のTHE SHAMPOO HAT公演『雨が来る』の、シアター・テレビジョンの放映日が決まったようで、掲示板で教えてくれた方があった。
日記を書かなかったきのう何をしていたのか、ぜんぜん思い出せない。稽古に行ったのはたしかなんだけど。
午前中TVコマーシャルのオーディションがあり、雨の中、出掛ける。衣裳を2パターン用意してくれ(地味なのと派手なの)と言われていた。派手ブラウスの上に地味カーディガンを着ていって、カーディガンを脱いで地味ズボンを派手スカートに取り替えればそれでOKなようにしたので、普段のバッグに入れてスカートを一枚持って行くだけですんだ。安易といえば安易なのかもしれないけれど、必要なコントラストはちゃんとつけたつもりである。
稽古は、1場、2場、3場と進む。1場の、前回の稽古で「間を取れ」と言われたところをまた間なしで言ってしまった。もっと復習して稽古に臨まないと。
稽古は、15時すぎから18時半。
久しぶりに、紙とペンで仕事している。プリントアウトされたものを読む。修正すべき事項を赤ペンで書き込む。もっかい見直すべき箇所に付箋紙を付ける。パソコン上で修正が済んだら、蛍光ペンでチェックする。最近はパソコン上で全部やることが多いから、ホント、何年ぶり、って感じだ。
1パック100円だ!てって喜んで買ったきり使ってなかった付箋紙の出番がやっときた。赤ペンもしばらくぶりだから、しばらく紙の上でぐるぐるしないとインクが出てこなかった。蛍光ペンなんて、ウチにあるのはみんな書けなくなっちゃってたから、新しく買いました。前、教材の内容吟味や校正のバイトをしていたときは、蛍光ペンも3色くらい常備してたのにね。
きょうの『暗愚小傳』稽古は、13時からの予定だったけど、いま青年団では入団試験をやっていて、それがちょっと長引いたので、14時近くに開始。きのうの続きからということだったので、「あぁ、私は、すぐ退場ね」と思っていたら、けっこう前に戻ってビックリ。そして、また台詞がちょっとずつ増えたり重なるタイミングが変わったりしていく。
あぁそういえばあそこのシーンって、10年前のとき(1993年の公演)に私がなかなかできなかったとこだ。見かねた共演者(このシーンには出てない人)が稽古の前にお茶に誘ってくれて、アドバイスしてくれたりしたんだ。そうそう、あった、あった、そんなこと。
朝は雪だったらしい。雨が降って寒い一日だった。午前中、用事があり原宿に行く。学生のとき以来ってくらい久しぶりだった。
13時から『暗愚小傳』稽古。間をとって、と言われているのに脊髄反射みたいにどうしてもぺろっとすぐに言ってしまう台詞があった。最初自分で、ここは間をとらないでパンパンパンッと行こうというプランを立てていたのの修正がなかなかきかなかったということのようだ(もう直りました)。
衣裳のスカート用の生地を買う。グレーのと、黒と茶色が混ざってるやつ。グレーのは円筒形みたいな感じ、もう一つのほうは長めのフレアースカートにしようと思う。『暗愚小傳』は一応昔の話だけど、それほど厳密に時代考証をしない。というか、場と場のあいだで10年ぐらい時間の経過があるので、人間がぜんぜんかわっていない(年をとったりしない)のに衣裳だけすごくちゃんと時代考証されてたら、逆に変だと思う。
13時から『暗愚小傳』稽古。私は前半は稽古がなく、床暖房が暖かくて眠くなった。後半は出番があって、台詞が少し増えたり変更になったりいろいろおもしろかった。18時終了。
14時から『暗愚小傳』自主稽古。俳優だけで行う自主稽古は、台詞を確実に覚えたり段取りを確認するのが主な目的だ。こうやってみたい、みたいな提案は、演出家のいる稽古のときにやる。きょうも、1場から順番にやって、欠席の人のところを飛ばして最後まで一通りやった。
夜、五反田団の稽古を見学に行く。まだ読み稽古だけど、俳優が台本を覚える前の時点で、作・演出からこまかい指示や、意図の説明や、いろいろと出ている。作・演出の前田くんともう一人の出演者と、二人のシーンだったので、台詞を読んでるのかダメ出ししてるのか雑談なのか、見ていてときどきわからなくなるのがおもしろかった。
桜美林大学にOPAPの『東京ノート』を観に行った。先日はAプロ、きょうはBプロ。20名のキャストをそれぞれまったく別の人が演じている。台詞も動きもだいたい同じで、全体的な流れとか感じとかはかわらないんだけど、俳優がちがい、組み合わせがちがうと、こまかいちがいがいっぱいで、俳優にできることは何か、そのおもしろさは何か、その限界は何か、などということをたくさん考えた。
『海よりも長い夜』のバラシと打ち上げに参加。
ナレーションの仕事に行く。最近、録音された自分の声を聞いても違和感がない。昔は顔が火照るくらい恥ずかしかったんだけどなぁ。身の丈を知るっていうか、誇大な自己イメージを持たなくなってきてるんだろうか。久しぶりに会った人に近況などを話していて、翻訳の仕事がどうとか言ったら、
「あ、ファンタジー小説の翻訳をしてるんでしたっけ?」
と言われてビックリ。私がスタートレックファンというおぼろげな記憶だけあって、そういう発言になった模様。ぜんぜんちがいますよー。印象っておもしろい。
TNG Samaritan Snare/愚かなる欲望 (2, 43)を見ていたら、ウェスリー・クラッシャーと二人でシャトルで宇宙基地に向かうピカード艦長が、「自分自身の子供が欲しいと思ったことはないんですか」と聞かれ、
Wishing for a thing does not make it so. (望んでもそうなるわけではない)
と答えていた。ピカード艦長は何か命令するとき"Make it so."ってよく言うから、それと掛けてある台詞なのかな。第2シーズンはまだピカード艦長がちょっとこわい感じで、私はこれもけっこう好き。
桜美林大学にOPAPの『東京ノート』を観に行った。『東京ノート』は、家族とか、年寄りの両親の面倒を見るとか、反戦運動に挫折して生きていくとか、わりと年齢のいった人が共感を持ちやすい内容だ。大学1〜3年生がそれをどういうふうに演じるんだろう。そんなことを考えながら劇場に入った。
私にとってはもう8年前から演じている作品で、自分が出ていないシーンでも、とにかくほとんど全部の台詞を耳で聞いて覚えている。そういう台詞が目の前で展開していくのは、なんだか不思議な感じがしたけれど、ちがう音質、言い方に思ったほど違和感がなかったので少し驚いた。当然なんだけど、私たちの『東京ノート』と、この人たちの『東京ノート』と、別々にそれぞれ、独自の『東京ノート』なんだなーと思った。
公演は、20日まで、桜美林大学 徳望館 B1F小劇場(東京都町田市常盤町3758)にて。
『暗愚小傳』自主稽古。演出家のいる稽古ですでにやっている部分は立って動いて稽古して、まだの部分は読み合わせをした。
今年に入ってから腰が痛く、最初は朝だけだったのがこの3日間ほど一日中よくならない。私は肩こりはしょっちゅうだけど腰痛はいままでほとんど経験がなく、心配になり、友に紹介してもらった病院にきょう行ってみた。目がそうとう疲れていると言われた。
さらに、衣裳を探す。それなりのカーディガン2点見つけ、購入。
おとといに引き続き、『海よりも長い夜』のロビーで物販係。きょうは昼夜2回公演。
『暗愚小傳』の衣裳を探す。あてにしていた店にあまりよさげなものがなく、がっかり。基本的に冬服なんだけど、夏の公演もあることを考えるとあんまりあったかいのは避けたいし、途中で着替えがあるから前あきがいい。少なくとも、かぶりものは避けたい。そんな条件を考えながら見ていくと、どれもこれもちょっとダメで、少し茫然とする。普段着っぽい衣裳は、「どうしてもこれ!」という気分になりにくく、かえってむずかしいような気がする。
昼、シアタートラムで、『海よりも長い夜』の受付を手伝う。夜、スズナリで、山の手事情社観劇。衣裳がとても私の好みだった。ポイントが赤くて、花柄とかさまざまなプリント布を合わせて使っているところ。斜めのフリルも。
仕事一段落。久しぶりにビール。でもゆうべあんまり寝てなくて、胃が変だったので、ちょっとしか飲めなかった。おいしい鍋もあんまり食べれなかった。残念。
何と何が相性が悪いのかわからないけれど、電子辞書で特定の単語を引くとクラッシュしてしまう。5年前に使い始めたときからずっとそうで、そんなもんだと思って使っている(調べたい単語の1個前か後に載っている単語を引いて、それから本文内をカーソル移動して目的の単語に行き着く、という方法で対処)んだけど、きょうはplayという単語がそういう爆弾だとわかってなんだか笑ってしまった。演劇、戯曲……私には必要不可欠な単語なのにって。
稽古日記を読んで、友がメールをくれた。初めてもらったメールで、とってもその人っぽい感じがして、嬉しかった。
ケータイでメール送受信してる人で、メールの返事をすぐくれる人がいて、そういうのも嬉しい。「はい」とか「それは大変ですね」とかそういうメールなんだけど。
そして私はますます電話が苦手になっていくのでした。
ディスカバリーチャンネルで、法医学のおかげで犯罪捜査がうまくいって犯人がつかまった、という事例を再現映像とインタビューで見せていく番組があって、何曜日の何時!と待ち構えていて見るほどではないけど、好きは好きなので、TVをつけてやっていれば、わりと見る。きょうも見ていたら、証拠として押収された5インチフロッピーディスクを、取調室で、隠し持ったピンキングバサミでいきなり切り刻んでしまった容疑者というのが出てきた。うわー。なんで取り押さえられなかったのかというのも疑問だけど、ポケットに手をつっこんだ時点で射殺されなくてよかったなぁ(結局その人は犯人で、終身刑になったのだけど)などということも思った。また、ハサミよりか磁石で表面をぐにょぐにょってこすっちゃえばよかったんじゃないのかな、なんてことも考えてみたり。
青系アイシャドーに挑戦してみたけれど、なんかどうしてもすさんだ感じになるような気がする。最近はあんまり言われなくなったけどもともと普通にしていると、
「なにをおこってるの?」
と言われるおこり顔なので、目の上が青黒っぽいと、鏡で見てもなんだかこわいや。
遅く届いたクリスマス(たぶん)プレゼントで、青っぽいアイシャドーをもらった。3色パレットで、青みがかった甘くないグレー、パールがかった冷たい感じの水色、それとベージュ。私はいままでの人生の中であんまり積極的に日常的に化粧をしていた時期というのがないんだけれど、はるか昔の記憶をたどってみれば、服の色とシャドーの色を合わせたりしていたこともたしかある。最近はどちらかというと「自分の顔色をもうちょっとよく見せる」みたいな感じのメイクなので、アイシャドーも、オレンジ、茶、ピーチって感じしか使ってないけれど、せっかくいただいたので、ちょっとちがうメイクにも挑戦してみようかと思う。
辞書でpatience(忍耐)という単語を調べていたら、そういう女子の名前もあることがわかった。Patience、日本語でいったら「しのぶ」かな。アーサー・ランサムの「ツバメ号」シリーズって子供たちが夏休みに冒険したりする児童文学の本があるんだけど、その中に自分たちはアマゾン海賊だって名乗ってる姉妹がいて、お姉さんのほうの名前がRuth(ルース)。でも、
「海賊は無慈悲(ruthless)だから」
ルースは変って言って、ナンシィって名前で通している。そんなことを思い出した。そしてさらに思い出すのは、五反田団の『びんぼう君 21世紀バージョン』(作・前田司郎)の中の、こういう台詞。
父 | 理由なんかねえよ、じゃあタカシは何でタカシなの | |
子 | 父ちゃんがつけたんじゃん | |
父 | だろ、理由なんかないんだよ |
ここ、好きなんだー。
ふとつけたTVでやっていた日本映画の最後の30分くらいをつい見てしまう。宇野重吉がお父さんで、戦後の民主主義教育を受けてる子供たちから見ると自分勝手な暴君で、子供たちは、間に入るお母さんについても、結婚して20年も経つのにお父さんの顔色をうかがってばかりでいくじなし、とか言っていて、でも帰りの遅いお父さんを雨のなか駅までお母さんが迎えに行って、一緒に帰ってきながらあっけらかんと仲直りしちゃう、みたいな話。あとで調べたら『月夜の傘』という映画で、あのお母さんは田中絹代だった。
また、ふとTVをつけたら、ヒッチコックの『サイコ』をやっていて、ご飯を食べながら最後の30分くらいをつい見てしまう。アンソニー・パーキンスって、こんなにサル顔だったっけか。いや、ひょろ長くてかっこいいのはかっこいいんだけど。
研究社のリーダーズ・プラス英和辞典には、『サイコ』の主人公ノーマン・ベイツのことまで載っている。曰く、
Hitchcock 映画 Psycho(1960) の主人公; Bates Motel を一人で経営する青年で, 穏和に見えるが, 実は精神異常の危険人物; Anthony Perkinsが演じた
「穏和に見えるが、実は精神異常の危険人物」っていうまとめ方がなんだかすごいな。
イカが、きのうよりだいぶ安い。といってもまだまだ高いので買わなかったけど。
お正月用に買った伊達巻きは、しょっぱさも甘さもきつくて、あんまり好きな味じゃなかった。きざんで何かの料理に使ってしまおうか。
11時から『暗愚小傳』稽古。最近、稽古に行ってその日最初に出番があるたびにのどがイガイガするので、発声練習をしよう、しようと思うんだけど、きょうもきょうとてギリギリに稽古場に着いて、稽古のあいま、あいまにストレッチや発声をちょこちょこっとやっつけた程度。こんないい加減なことを続けていると後で痛い目にあうにちがいない。きょうまでは「プレ稽古」ということになっていて、1月下旬から本格的に稽古が始まる予定なので、そんときはちゃんとしよう。
きのうの続きで、一場の稽古。その後、俳優だけで自主稽古(台詞や動きを覚える、定着させる)も、少しやった。友がアゴラ劇場での3時の公演を観に来ることがわかっていたので、自分の稽古が終わったあとロビーで待っていて、友と会ってちょっと話してから帰宅。
雪や雨の、寒い一日。寒いのは苦手だ。
11時から稽古。病欠の人と帰省の人が復活し、若手自主企画に出ている人たちも午前中は稽古に参加できたので、前回できなかったシーンをだいぶやることができた。
夜、青年団若手自主企画『神さぶるまで待て』を観た外国人のお客さまに、ストーリーを説明してくれと言われて、
「お父さんが、整形手術をすると言い出して、娘たちはそれをとめようとする。お父さんが帰ってきて、えーと、たぶん、セクシャルなことが起こってることがわかってきて、最後お父さんはたぶん、死んだと思う」
後で作者に聞いたら、まちがってはいなかったようだ。あと、作者に対して、
「なぜお父さんはお母さんの顔になりたいと思ったのか」
「この作品を書きたいと思ったキッカケは何か」
「タイトルはどういう意味か」
など質問あり。間に入って英語通訳をしたけれど、この作品を書きたいと思った最初のキッカケの話には「男根」ということがどうしても出てきて、penisという単語をあんなにはっきり大きな声で何度も言ったのは、私の人生でたぶんきょうが初めてだった。
またまた昼夜逆転がひどい。明日は『暗愚小傳』の稽古があるから、きょうは早く寝ないといけないんだけど……。
なんだかこの一週間くらい、ウィルスメールがすごいいっぱい来る。英語のメール。なぜ最近急に増えたんだろう。
年賀状がわりに、新年のご挨拶をホームページに載せてみた。季節のかわりめとか、ときどきこういうのやってみようかな。
お正月なので、和服を着た。根がいい加減なので半襟(ポリエステル)なんて安全ピンで留めちゃったし、すごい久しぶりだったので衿芯を入れるってことなんてすっかり忘れちゃってたりした。帯は、私が指示を出して家の人に結んでもらったけど、たぶんどこかまちがっちゃってたと思う。こんなにテキトーだったしけっこう慌てて準備したんだけど、なんだかすっきり気楽な感じに着れて、よかった。
で電車に乗って座席に掛けたら、家の人が私の顔をじっと見るので、
「なに?」
と聞いたら、
「年とったね」
と言われた。9年一緒にいての客観的な感想なんだと思うけど、言われたほうはちょっとショック。でもそういえば最近は、公演のアンケートに「おばさん」って書かれる(コレコレのおばさんがよかったとか、悪かったとか)のにも慣れてきましたね。そんな私の、2003年1月1日。