最初は、ブロックの製図やピーシング、キルティングの練習のため、コースター(1つのブロックでできている)やランチョンマット(4ブロックとか68ブロックとか)を作りました。だんだんコツがつかめて、そろそろ大きめのものを作ってみたいと思って作ったのがこの作品です。
使っているブロックは、アラビア格子(Arabic Lattice)という名前です。Naomi A. ParkhurstさんのTraditional Pieced Quilt Block Collectionに図が載っています。アラビア格子のブロックと、「赤ばっかり」または「淡い色ばっかり」のナインパッチ(正方形を3×3並べたブロック)とを、交互に配置しました。
はじめてなのでピーシングもキルティングも(いま見ると)へたくそで、ピースとピースの継ぎ目がびしっとあってないし、キルティングの縫い目も大きいです。でも、思い出深い、いまでも好きなキルトです。
おおざっぱな目で見る(近視の人だったらメガネをはずしていただくといいかもしれません)と、「淡い色をバックにして、赤い風車のようなものが並んでいる」というふうに見えると思います。こういう、いろんな端布をとりまぜて作るキルトをスクラップキルトといいます。私のキルトは、ほとんど全部このタイプです。
このキルトには、手持ちで使えそうな布はなんでも使いました。古いブラウス、ハンカチ、ゆかた地、舞台でカーテンだったピンクのギンガムチェック。ふつうはコットン100%で作る、ということもよく知らなかったのでワンピースを作ったときのポリエステルの端布(白で模様がでこぼこしている、光沢のある生地)もまぜちゃいました。長持ちするかどうかという観点からいったらダメなのかもしれないけど、つるつるしててきれいです。
「そうか、パッチワークといってもアーリーアメリカン風じゃなくていいんだ。自分の好きなようにやればいいんだ」とカリフォルニアで悟った(おおげさですね)私ですが、当時購入した、「手軽なパッチワークのために端ぎれ向きパターンブック」(鈴木幸子 しかのるーむ 著 文化出版局 1996年)という本からもおおいに影響を受けました。
どういうことが書いてあったかというと
- まず手持ちの布でやってみよう。配色の計画を立てて、どうしても足りない布があったらそのとき初めて買いに行くべし。
- 「パッチワーク用」という特別な布なんてない。布は「絵の具」であり、それが集まって1枚の絵となるわけだから、使えない色とか模様なんてない。
- 配色の方針を決めたら、ブロック作りは、こま切れの時間にだんだんと作りためていけばよい。
これを作ったときには、「作ったキルトに名前(タイトル)をつける」ということを知りませんでした。その後いろいろ考えてはみたのですが、いい名前が思いつきません。このキルトはいまでも名なしです。