はじめに
全般を通じて、ここで書くのは「舞台照明」の話、その中でも「演劇の照明」、
特に「青年団の照明」の話が中心です。で、内容は、「私はどうやっているか」
をただ公開する、ということを目標にします。以前「私はこう思う」という方
向で書こうとして煮詰まったことがあるので、やはり職人は職人らしく、「ワ
シの流儀ではこうなんじゃぁ」という感じで、ひたすらドキュメンタリー精神
で、うちの演出家の言い方を借りれば「世界切り取り」方式で書いていこうと
思います。
注意していただきたいのですが、このシリーズは照明に関して決して「教える」
とか「主張する」とか、ましてや特定不特定の人物・団体・業界を「批判する」
とか、そういうことは意図していなくて、ただひたすら私の手法・情報を「た
れながす」ことが目的です。なぜそんなことをするかというと、第一に、文章
化することで自分の手法を理論化する手助けとしたいのと、第二に、公開して
(ご意見等をいただければ)自分の誤解や認識不足を明らかにして今後より
良い照明プランを作る助けとしたいからです。
このシリーズが、アマチュアで演劇の照明をやる方の指針になったりとか、学
校で演劇の指導をしている先生方や不幸にして照明係になってしまった生徒さ
ん達にとっての参考になったりとか、同業者や近業者(音響さん他)の酒の肴
になったりとか、そういうことは全く意図していませんが、もしそうなったな
らば私としてはこれほどうれしいことはありません。