D-Con Project がスタートした。D-Con(ディーコン)とは、DoctorMX (kuwatec) 専用の新しいソフトウェアを開発するプロジェクトである。
kuwatec社オリジナルの「DoctorMXソフトウェア」も、このブログで何度か取り上げてきたように、非常に多機能で、応用次第で様々なことが可能である。しかし、いかんせん、インターフェースがいわゆる「舞台照明卓」によくある形とはだいぶ異なるので、「普通の照明さん」には今ひとつ「取っつきにくい」という印象があることは否めない。
「まず普通の照明さんの感覚から」。それがD-Con の考え方である。D-Con 最初のアプリケーション「D-Con CF」は、一目見れば明らかなように、舞台照明をやっている人ならば、ほとんど何の説明もなく、マニュアルも読まずとも使い方がわかる。しかし、高級な機能はまだほとんど実装されていない。キューの記憶すらできない。
「コンピュータ卓」あるいは「on PC卓」を設計しようとなると、どうしても「コンピュータ的」な所から始めたくなる、それは当然である。しかし、D-Con はあえて、わざわざアナログ的なインターフェースをPC上に構築するところからスタートした。PC卓だから、「コンピュータ的」なことは、あとからいくらでも付加できる。しかし、その「出発点」「軸足」をどこに置くかをD-Conは重視し、そのスタートラインとして、私たち照明家が誰でも最初に学ぶ「3段プリセット卓」を選んだ。「まず、一番わかりやすい所から始めよう」、それがD-Conのコンセプトである。
D-Conには実はもう一つ、他のPC卓にはない大きな特徴がある。一般的にPC卓といえば、MA Lighting社の「GrandMA onPC」にしろ、Compulite社の「Vector PC」にしろ、実際の卓、すなわち「実機」の形をPC上に表示するのが基本スタイルとなっている。しかし、DoctorMXには「実機」というものが無い。だから逆に、PC卓はどんな形をしていても良いのである。言い替えれば、いくらでも好きな形にしても良いということである。極端な話、たとえば操作によってその時必要なボタンやフェーダーが突然出現したり、あるいは消滅したり、場所を移動したり、などしてもかまわない。実際、D-Con アプリケーションに将来的にそのような機能が実装される可能性は十分考えられる。つまり、D-Conは、「DoctorMXの新しいカタチ」を追求するとともに、「PC卓の新しいカタチ」も同時に研究していくプロジェクトだと言える。
しかし、最初はあまり大きなことを考えず、少しずつ進めることになるだろう。いきなり飛躍したことを考えるようでは、「3段プリセット」から始めた意味が無くなってしまうから。
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