「さようなら」リンツとベルリン、無事に終わりました。二カ所とも、照明の仕込みは極めて単純なものでした。
[リンツ]
サイドのバルコニーにスタンドを上下(かみしも)4本ずつ、計8台。内訳は、
・一番手前(客席側)にフレネル上下各1台の客電
・その隣にフレネル上下各1台のフロント
・舞台の前ラインぐらいに、プロファイル上下1台ずつ、それぞれアンドロイドと女優ネライ
・舞台の奧ラインぐらいに、パーライト上下1台ずつ、それぞれアンドロイドと女優ネライ
今までの「さようなら」は、照明の流れは、
1.アンドロイドがぼーっと見えてくる
2.続いて女優がぼーっと見えてくる
3.両者が明るくなるとともに、舞台全体も明るくなる
*その状態でキープ
4.終演近くに、舞台全体の明かりが落ち、アンドロイドと女優が光で切り離される(両者の間に「黒み」が入る)
5.女優の光が消え、アンドロイドだけが残る
6.アンドロイドの光が暗くなっていき、最後の台詞とともにフェードアウト、暗転
となっていました。しかし、リンツでは、終演の時の変化を少し変えました。
4.終演近くに、舞台全体の明かりが落ち、アンドロイドと女優が光で切り離される(両者の間に「黒み」が入る)
5.女優(眠っている)にあたっている光が増し、キラキラと明るく輝く。一方、アンドロイドの光はサイドからのハイライトが増し、陰影の強い光で輝く
6.女優の光が消え、アンドロイドの輝きだけが残る
7.アンドロイドの光が暗くなっていき、最後の台詞とともにフェードアウト、暗転
つまり、これまでは、開演で明るくなった舞台が、終演で単に暗くなるという流れだったのですが、今回は、終演時に、いったん明るくなって(しかしそれは全体ではなく、両者への絞り込んだネライ明かり)、そして暗くなる、という流れにしました。
終演近くに女優が強い光で照らされる、というのは、この女優の死を象徴しています。教会でやる、と聞いたときに、すぐそれを思いつきました。結果としては、なかなか感動的にできたと思います。
[ベルリン]
使える回路がフロント位置に上下各4回路ずつしかないので、まずフロントに上下それぞれ、プロファイル×1、フレネル×2
残り1回路ずつは、ステージに引き回し、上下ハイスタンドでそれぞれプロファイル各1
ハイスタンドのプロファイルが偶然明るい機材だったので、これをリンツのパーライト的に扱いました。フロントは低くて後ろに影が出ちゃってダメダメだったので、必要最低限の明るさに押さえました。ただし下手の一台は絞り込んでアンドロイドネライにしました。
明かりの流れはベルリンを踏襲しました。
1.アンドロイドがぼーっと見えてくる(上手ハイスタンド)
2.続いて女優がぼーっと見えてくる(下手ハイスタンド)
3.両者が明るくなるとともに、舞台全体も明るくなる(フロント)
*その状態でキープ
4.終演近くに、舞台全体の明かり(フロント)が落ち、アンドロイドと女優が光で切り離される(上下のハイスタンドと、下手フロントのアンドロイドネライ)
5.女優(眠っている)にあたっている光(下手ハイスタンド)が増し、朝日(あるいは夕日)に照らされるように輝く。それとバランスを取るように、アンドロイドの光も少し明るくなる
6.女優の光が消え、アンドロイドの輝きだけが残る
7.アンドロイドの光が暗くなっていき(まずフロントが消える)、最後の台詞とともにフェードアウト、暗転
ベルリンは、天井が低くてやりにくかったんですが、まあ、あそこの会場条件で出来る中では、一応、良い明かりが出来たと思います。
アンドロイド演劇「さようなら」は、この後イタリアのパレルモに向かいますが、僕はここベルリンで離脱、帰国して、「東京ノート」中国公演に参加します。パレルモの照明は演出助手さんががんばります。がんばってね。
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