「隣にいても一人」@釜山(4)

12日
昨晩もものすごく飲んだが、翌朝にはまったく残っていない。やっぱソジュはいいねぇ。午前中はおなかがあまりすかなかったので、オレンジジュースだけ飲んで12時に劇場入り。バラシの打合せなど。

14時開演でマチネ。観客は昨日より少ないが、笑いが大きいのは昨日同様。15時頃に終演して、やっとおなかがすいてきたので、大学近くの学生がよく利用するという店に行ってみることにする。ああこれこれ、こういう店に来たかった。チゲやポックンパブ、ビビンパなど、典型的なメニューが並んでいる。スンドゥブチゲを注文。おいしい。あとオカズが多種。そして、3500ウォン(約250円)。あまりにも安い。このレベルの食事だったら、日本ならおそらく1500円ぐらい、フランスだったら2000円ぐらいだろうと思う。逆にタイだったら100円ぐらいだろうか。食事の値段が世界でこんなに違うっていうのは、何か間違ってる気が、ずっとしている。身体的にはほとんど変わらない、同じ人間が生活しているのに。

18時開演でソアレ。観客はさらに少なかったが、よく笑う点は同様。終演後バラシ。照明はフィルターを抜くだけでよいとのことで、超簡単。20時半ぐらいにはだいたいの作業が終了。

打ち上げはプルゴギ。ソウルと違って(あるいはこの店独自か)、甘いすき焼き状のものではなく、コチュジャンがまぶった辛い肉。大変おいしい。ここで、釜山の男焼酎と言われるソジュ「C1」に挑戦。うーむ、なるほど。甘みがまったく無い。しかし、うまいぞ、これ。甘みが無い点は日本の焼酎に近い。しかし、素晴らしくマイルド。いける。だけど一晩で一本は無理かも。楽しい打ち上げでした。

帰りのコンビニでは、ソジュには手がのびず、500mlの缶ビール二本を購入。部屋で飲み干して就寝。

明日の昼の飛行機で帰国。
短期間でしたが、なかなか楽しいツアーだったと思います。

(日記形式おわり)


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「隣にいても一人」@釜山(3)

11日
10時半入り、11時半ゲネ開始。
おおむね順調だったが、途中、点灯してはいけないアッパーホリがついてしまう。あれ、昨日は問題なかったのに、なぜ? しばらく考えて、わかった。昨日、一台、ディマー番号がわからない灯体があって、使ってないディマーをメチャクチャにそのチャンネル番号にパッチしたのだった。昨日はアッパーはブレーカーではねてあって点かなかったとかだろう。そういえば、パッチのやり方はわかったのだが、アンパッチ(パッチを外す)の方法がなかなか見つからない。アンパッチができないので、使っていないフェーダーにパッチを替える、という方法で切り抜ける。

遅めの昼食は、牛肉入りの「ヘジャンクク」。んまかった。

この後は夜の公演までまったくの空き時間。少し遠くの市場とかに行く者もいるようだが、僕は疲れたのでホテルで休むことにする。ホテルの部屋に戻りパソコンでネット接続。何とは無しに、EVOLITES PEARL のマニュアルをもう一度検索してみる。あった。あるじゃんか。やっぱり現場だとあれだな、自分では冷静なつもりでいても、慌てているものなのだ。早速、アンパッチの方法を見る。なるほど、なるほど。

昼寝した後、18時に劇場に戻る。使っていないディマーがメチャクチャにパッチされているチャンネルを、アンパッチ機能を使って綺麗に整理。あー、すっきりした。

20時開演で初日。満席。開演すると、実にドッカンドッカンとウケまくり。「隣にいても一人」上演史上、もっとも観客席から笑い声が多発する公演になった。

終了後、作&演出家プラス、出演者も出演しての(意味わかるよね)アフタートーク。こちらも良い盛り上がりで、とても良いトークセッションになりました。

夜は、日本チームみんなでカンアンリへ。刺身を堪能。

帰り道、コンビニでまたしてもソジュを購入。ただし今日はチャミスル・オリジナルではなく、先ほど刺身の店で出た「チョウンデイ」という釜山の焼酎にする。昨日残ったチャミスル・オリジナルと合わせ、二つの瓶が空になった。ずいぶん飲み過ぎみたいに思えるかもしれないが、よく計算してみると実はそれほどではない。アルコール度数はチャミスルが約20度、チョウンデイは約17度である。ビールのアルコールが5度だから、360mlのこの焼酎瓶一本のアルコールは、せいぜい普通の缶ビール4本程度。だから、僕としてはこの「焼酎一日一本」のペースは、まったく普通の量なのである。(でも部屋に帰って飲む前にすでにみんなと飲んでるから、やっぱり飲み過ぎなんだろうけどね)。



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「隣にいても一人」@釜山(2)

10日
9時劇場入り。一応「演劇フェスティバル」なのだから、仕込みを手伝ってくれるスタッフは当然いるだろう、という想定で来たのだが、どうもそれらしい人がいない。

朝のミーティングでは、この劇場を担当する先生方(ちなみに劇場は大学の中にある)を紹介された。しかし、どう見ても舞台技術に詳しい人たちには見えない。僕らぐらいになると、プロの舞台スタッフかどうかは顔つきでわかるのです(同類を見分ける能力)。

「照明の吊り込みをする人はいますか」と尋ねると、先生のお答えは「図面を見たところ、簡単な仕込みなので学生達に吊らせます」とのこと。やがて二人の学生が来て吊り込みが始まる。でもまあ、結局大学生なので、大学生レベルの仕事なわけです。バトンを一本ずつおろす。学生達が機材を吊って、僕がフィルターを入れる「フィルターは全部入りましたか」と尋ねるから「入りました」と答えると、いきなりバトンをアップし始めた。おいおい、回路はとらないの? 「どのライトをどの番号に差せば良いか指示が無かったので」。うあ、そのレベルか。僕の頭の中のスイッチが、「プロ現場モード」から「ワークショップモード」に切り替わる。「図面で、線でつながっているやつは同じチャンネルになります。だから、線でつながってない物を同じ回路に差してはダメ」。という説明じゃわからないよね。全部番号を僕が決めてあげました。学生が質問「上手のあれと、下手のこれは、対称だから、同じ番号ではダメですか?」。だからダメだっつってんだろ、とは言わなかったけど、とにかく、手取り足取りって言う感じ。

さて、劇場内に見えてるライトを数えると、フレネルが7台ほど足りない模様。機材表と実数が違うことは、よくある話。凸は余っているようなので、フレネルの一部を凸+ディフュージョンに変更しようかな、と思ったけど、一応その前に学生に尋ねる「フレネルが足りないみたいなんだけど」。すると「倉庫にあります」。あ、そうなの、じゃあ変更無しで、1サスは予定通りフレネル17台を仕込みましょ。

次に吊る2サスの分のフレネル7台がちょうど無い。倉庫に取りに行った学生がなかなか戻ってこない。どんだけ遠い倉庫なんだ? と思っていると手ぶらで戻ってきた学生が言う。「いま倉庫で先生がフレネルを修理していますので、あと30分ぐらいかかります」。おいおい、最初からわかってれば凸に変更するのに。「修理が難しいようなら、一部の仕込みを凸に替えても良いんだよ」「あ、そうですか、では先生に確認して来ます」。

またしばらく戻ってこない。気長に待っていると、今度は、重そうな、ぜんぜん違うタイプのフレネルを持って来はじめた。「これが今4台あります。それと、このフレネルは直したので使えます。今あと2台直してますので...」ちょっと待て。違うタイプを混ぜてどうする。フレネルなら何でも良いって話じゃねえんだよ。

「色々な種類の機材が混ざるよりは、一部を凸に変更する方が良いです。1サスの、これとこれを、凸に変更します。その分のフレネルを、2サスに吊ります」。「本当にフレネルじゃなくて大丈夫なんですか? 申し訳ございません」。「大丈夫、大丈夫、問題ない。はい、1サスおろして」。

そんなこんなで、たった35台の吊り込み(しかもすべて電動昇降サス)に、3時間以上。

調光卓は、EVOLITES社の「PEARL 2004」という、純然たるムービング卓。なんでこんな卓を入れちゃうかなぁ。ムービングが一台も無い劇場にムービング卓入れてどうすんのよ。僕だって使い方わかんないし。

先生にお願いする。「キューを打ち込んで操作したいので、19時からのリハーサルの時には、この卓に詳しい人にいて欲しいです」。すると先生の表情が曇る「...このコンソールは、元々ショーを作るためのものなので、限界もあります」。「ショー」って何だ? なんだか雲行きが怪しい。これはひょっとして...おそるおそる質問してみる「このコンソールでキューを打ち込める人は、いますか?」。「...いません」。うあー、最悪だ。こんな面倒な卓の使い方を、自分で手探りで今から把握しないといけないのかぁ。ネット上にマニュアルがないか、検索してみる...見つからない。先生の持ってるその分厚いマニュアルは...韓国語だ。僕の韓国語力ではとても読解できない。

とりあえず、一対一でパッチしてあるようなので、回路番号のフェーダーをあげて照明を一つずつ点灯することはできるから、フォーカスまでは可能だ。しかし、本番となると、シーンを組んでおいてグランドマスターで操作? しかも「隣にいても一人」は4シーンあるから、間の暗転(約15秒)で次のシーンをスピード手組みか? しかもパッチのやり方もわかんないからこのバラバラのフェーダー番号で? いや、それはいくらなんでも危険すぎる。せめてサブマスターの記憶のやり方ぐらいは解明する必要がある。

そんな、先行き不安の中、とにかくお昼ご飯にしましょ。ということで、日本チームみんなで教職員食堂で昼食。優しい味。おいしくいただきました。

午後。字幕のセッティングをちゃっちゃと済ませて、照明フォーカス。そういえばさっきから、先生がマニュアル片手に卓を色々いじっている。この人、19時までにどうにか自分が卓を扱えるようになろうと頑張っているらしい。

フォーカスをしている頃、最強の通訳、我らがイ・ホンイ、劇場入り。

フォーカス終了後、さっきの先生が「キューの入力方法がわかりました」と言う。ホンイを介して、先生の説明を聞く。なるほどなるほど、しかしそれにしてもずいぶん複雑な手順だ。チャンネルのレベルもテンキーで打たないとだめなのか。フェーダー使えないの? とても実用になる手順ではない。うーむ、この先生にできるのはここまでだな。しかたない、先生に教わった手順を出発点に、自分で卓を色々いじって機能を少しずつ把握していくしかない。

卓と格闘すること、およそ3時間。フェーダーによるレベル入力、サブマスターの記憶方法、タイムの入れ方、前のキューと自動的につなぐ方法などを発見していく。そしてついに、パッチの方法を見つけた。ああ、これでだいぶ楽になる。すべての方法が解明した時点で、夕食。

夕食を終えてすぐに卓へ戻る。場当たり前にどうにか仮のデータ入力を完了。ふう。ギリギリだが追いついた。

場当たりは順調に進み、この日の内に最後まで終了。

退館後、みんなでサムギョプサル。

帰り道のコンビニで再びチャミスル・オリジナルを一瓶購入。またしてもそれを部屋で一人で八割がた飲んでしまう。
フラフラに酔っぱらって就寝。


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「隣にいても一人」@釜山(1)

「隣にいても一人」の公演で、韓国の釜山に来ています。
久しぶりに日記形式で。

9日
早朝のバスで成田空港へ。「隣にいても一人」公演で韓国釜山に行く。出発は成田空港第2ターミナルから。今まで何度も海外に行っているが、成田の第2というのは初めてだと思う。
出発ロビーで海外用ポケットWiFiをレンタル。海外に行くときはこれがオススメ。海外パケ・ホーダイよりも安い金額でデータ通信を定額で使用できる。スマートフォンやPCを使っているのであれば、考える余地は無いほどにこれがお得。
出発までだいぶ時間があり、ついビールを飲む。まだ朝の9時なのに。海外公演の空港および機内では、ほとんど条件反射的にビールを飲んでしまう。
10時発のJALで釜山へ。釜山便は飛行時間が2時間ほどだが、それでも機内食が出る。和風のおいしい食事。ここでもビールを飲む。
12時過ぎに釜山空港着。送迎の車で市内へ。劇場にちょっと寄った後にホテルにチェックイン。夜は劇場で台湾のカンパニーの公演の楽日を観劇。この公演のあとにバラシが行なわれ、明日は僕たちが小屋入りする。
数人でホテルの近くのカムジャタンの店へ。しかしこの店は微妙にハズレでした。
帰り道、ホテルの近くのコンビニにチャミスルのオリジナルがあったので購入。なんとその晩の内に全部飲んじゃいました。一人で。飲み過ぎです。

10日
9時入り。一応演劇フェスティバルだから、仕込みスタッフは当然いるだろうと想定してきたのだが、それらしい人がいない。

(続く)


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Doctor-MX(1) 外部卓のつなぎ方

これから、不定期連載の形でDoctor-MXの解説(というか、僕個人がどのような使い方をしているか)を書いていきたいと思う。最初は画面のキャプチャ等が入ったわかりやすいものをやろうとも考えたのだが、一回の執筆作業を面倒なものにしてしまうと、連載自体が面倒になって続かなくなる恐れがあるので、あくまで文字だけで書くことにした。なので、読む方は、お手元のDoctor-MXアプリの動作を参照しながら読んでいただきたい。

(Doctor-MXについては、http://www.kuwatec.co.jp/doctormx/ を参照)

僕がDoctor-MXを使用する際は、原則として入力側に12chの簡易卓、LitePuter の CX-1203 を接続している。ただし、その代わりとなる卓が劇場にある場合は、劇場のものを入力卓として使用する。

入力側につないだ卓は、「サブマスター」あるいは「段マスター」的に使用する。具体的には、Doctor-MXの「コンソール」のマスターを外部卓のフェーダーで操作できるようにする。

そのためには、Doctor-MXの「コンソール」の「マスター」に、使っていない大きいチャンネル(500番台など)を割り当てる。マスターにチャンネル番号を振るには、「コンソール」ウィンドウで、メニューの[コンソール(C)]→[スライダ(L)]→[チャンネル(C)...]によって行なう。たとえば、「コンソール #1」のマスターを、チャンネル501に設定したとする。

そのマスターを外部卓で操作するために、Doctor-MXの「流れ図」の最初に「パッチ」を置き、そこで「ch.1→ch.501」とパッチする。そうすることで、外部卓のch.1が、「コンソール #1」のマスターとして機能する。

僕の場合、「コンソール」を12面開いて、それらのマスターをch.501~512に設定し、一方、流れ図の最初に「パッチ」を置いてそこでch.1~12をch.501~512にそれぞれパッチするようにしている。そうすることで、外部卓の12本のフェーダーが、Doctor-MXの「コンソール #1」~「コンソール #12」のマスターとして機能する。

しかし、「コンソール」を12面開き、それらのマスターのチャンネル設定をし、パッチをし、というのは手間も時間もかかる作業なので、現場ではやっていられない。だから、それらをすべて済ませた状態を、「12ch標準」という名前のキューシートとして保存している。そのキューシートを開けば、いつでもどこでも一発で12段プリセットの卓がDoctor-MX上に出来るというわけだ。


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